巻き爪をくり返さないために|靴えらびと履き方から見直す“本当の原因”

巻き爪の痛みが強いときは、

「とにかくこの痛みから解放されたい」

「見た目が気にならない爪の形に戻したい」

まずは、そこがいちばんの願いだと思います。

そのお気持ちは、とても自然なことですし、私もサロンでいつも大切にしている部分です。

ただ、巻き爪補正でいったん落ち着いたとしても、

そのまま以前と同じ靴・同じ歩き方に戻ってしまうと、

同じトラブルをくり返してしまうことが少なくありません。

今日は、

巻き爪補正の「そのあと」にできること

として、

靴えらび靴の履き方のお話をさせていただきます。

目次

巻き爪補正は「ゴール」ではなく、スタートライン

巻き爪補正を行うと、

  • 食い込んでいた強い圧迫がやわらぐ
  • 食い込んでいた部分の痛みが軽くなる
  • 爪がまっすぐ伸びやすい環境が整う

といった変化が期待できます。

長くガマンしてこられた方にとっては、

「やっと靴が履ける」「歩くのがこわくない」

という、大きな安心にもつながる大切なステップです。

一方で、巻き爪になってしまった背景には、

  • 足に合っていない靴
  • 靴の履き方の間違い
  • 足指をうまく使えていない立ち方・歩き方
  • 足先の乾燥 など

“爪そのもの”以外の要素が重なっていることが多いです。

補正で爪の状態が整ったあと、

この「背景」に目を向けていくことが、

くり返さないためのポイントになります。

巻き爪と「靴」の関係

巻き爪にお悩みの方の靴を見せていただくと、

「靴のサイズ」と「靴の履き方」に、こんな傾向がよく見られます。

  • 実際の足よりも大きめの靴を選んでいて、かかとや甲がゆるい
  • 靴ひもをほどかずに脱ぎ履きしていて、いつも同じゆるさのまま履いている
  • チャックやマジックテープをしっかり留めておらず、歩くときに足が前へすべってしまう

その結果、靴の中で足が前に移動しやすくなり、

つま先部分に負担がかかりやすい状態になります。

つま先がいつも靴の先端にぶつかっていると、

少しずつ足爪への負担が積み重なっていきます。

中には、足のサイズに合った靴を選んでいらっしゃる方もいますが、

履き方が間違っているために、

「合わない靴を履いている」のと同じ状況になっていることも少なくありません。

さらに、大きすぎる靴を履き続けることで、

少しずつ足の骨格がくずれて、「浮き指」とよばれる状態になりやすくなります。

本来なら床についているはずの指先が浮いてしまう状態です。

指が地面をとらえられないと、

爪を広げるための力が地面もらえず、巻き爪がすすむ大きな原因のひとつになります。

「やわらかくてラクだから」「脱ぎ履きがしやすいから」と選んだ靴でも、

サイズやフィット感、履き方がほんの少しズレているだけで、

少しずつ爪の生え方が変化し、巻き爪や変形につながっていきます。

巻き爪補正と同時に見直したい「靴えらび」のポイント

巻き爪補正で痛みが落ち着き、

少し気持ちに余裕を感じられたら、

普段よく履く靴から、ひとつずつ見直してみるのがおすすめです。

ここでは、チェックしやすいポイントをいくつか挙げておきます。

① つま先に「1㎝ほど」のゆとりがあるか

いちばん長い足指の先から、1㎝くらいの余裕があるのが目安です。

ゆとりがほとんどないと、歩くたびに爪が押されてしまいます。

② 足指が自由に動かせるか

かかとを合わせて靴を履いた状態で、

足指をいもむしのように曲げ伸ばししてみてください。

  • 横の圧迫がない
  • 上から強く押さえつけられていない

足指が自由な感覚が大切です。

③ かかと・甲がしっかりフィットしているか

靴のサイズというと「長さ」だけを気にしがちですが、

足の幅(ワイズ)や、甲まわりへのフィット感もとても大切です。

  • かかとが浮かず、パカパカしない
  • 甲のあたりがゆるすぎず、きつすぎず、すき間なく包まれている
  • 歩いたときに靴の中で足が前へ移動しない

このように、かかと・甲・幅がしっかり合った靴を正しく履けていると、

足は「人間本来の使い方」をしやすくなります。

この自然な歩き方ができると、

つま先に負担が集中しにくくなり、足指や爪への負担も軽くなります。

結果として、巻き爪の予防にもつながっていきます。

「足に合う靴を正しく履く」と歩き方が自然に変わる理由

「歩き方を整えましょう」と言われると、

なんだか難しいトレーニングが必要なイメージを持たれる方も多いです。

でも実は、

足に合う靴を選んで、かかとをきちんと合わせて履く。

この基本ができるだけで、その場で「歩きやすい」と感じられる方が多く、

歩き方もスッと変化します。

  • かかとがしっかりおさまっている
  • 靴の中で足が前へすべらない
  • 足指がきゅうくつにならず、のびのび動ける

この状態が整うと、

からだは「こう歩かなきゃ」と意識しなくても、

足裏全体をバランスよく使った、人間本来の歩き方に近づきやすくなります。

合わない靴・まちがった履き方がつくる「歩き方のクセ」

反対に、靴の選び方や履き方が合っていないと、

からだは無意識のうちに、こんな歩き方のクセをつくりやすくなります。

  • つま先が痛いので、足指を地面につけるのを避けて歩く
  • 靴の中で足がずれるので、足指が靴をつかもうとして緊張する
  • 足もとが不安定で、歩幅が小さくなり、ちょこちょこ歩きになる
  • 足の外側ばかりに体重がかかる、または内側ばかりに寄ってしまう

こうしたクセが続くと、

足のどこか一部分だけに負担が集中しやすくなり、

足爪だけでなく、ひざ・腰などへの負担にもつながってしまいます。

フィットした靴を正しく履くと、クセがつきにくくなる

足に合う靴を選び、

  • かかとをトントンとしっかり合わせる
  • そのあとで、ひもやベルトで甲をやさしくフィットさせる

この「ひと手間」をかけるだけで、靴の中で足がしっかり安定します。

足が安定すると、

  • 余計なところで踏んばらなくてよくなる
  • 足指が自然に使われる

その結果、足指への余計な負担を減らすことができ、巻き爪の予防にもつながっていきます。

「正しい歩き方を意識して頑張る」よりも、

まずは 足に合う靴を、ていねいに履くことから。

それだけで、自然とからだが

本来の歩き方を思い出していくお手伝いになります。

まとめ:巻き爪補正の「そのあと」にできること

巻き爪の痛みが強いときは、まずそのつらさを和らげることがいちばん大切です。

そのうえで、同じトラブルをくり返さないための鍵になるのが、

「足に合う靴を選んで、正しく履く」ということです。

足に合った靴を、かかとをていねいにフィットさせて履くことで、

足裏全体で体重を支えやすくなり、足指や爪への余計な負担が減っていきます。

正しく歩くための特別なトレーニングよりも、

よく履く一足を見直し、ていねいに履くことから。

行きたい場所へ、行きたい時に、生涯自分の足で歩いて行けますように。

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